人間の脳は日常生活の縮小版2008/06/21 18:39

『海馬 -脳は疲れない-』(新潮文庫:池谷裕二、糸井重里著)を読みました。 最近流行の「こうすればあなたも○○になれる」とか「△△のすすめ」とか「どうしたら☐☐なのか?」といった類のハウツー本より、ずっとどうすればより楽しく生活できるのかを示唆してくれる良本かと思います。 これを読まれたら方には、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス:池谷裕二著)もお勧めです。 『海馬』の中でなるほどと思ったところをピックアップしました。

睡眠は6時間必要。
睡眠が足りないと海馬に情報整理の仕事(レミネセンス(追憶))をさせる時間を与えない。毎日のリズムを崩すことが海馬に非常に悪影響を与えることもわかってきた。時差ボケのような状況に陥るとストレスで海馬の神経細胞が死んでしまうという実験結果もでている。レミネセンスというのは、非常に面白い現状で、例えばずっと勉強していて「わからなかったなぁ」と思っていたのに、ある時急に目からウロコが落ちるようにわかる場合がある。これがレミネセンスが作用している場合が多い。

『達成感』がA10神経という快楽に関わる神経を刺激して、ドーパミンという物質を出させ、『やる気』を維持させる。

心理学の言葉で『初頭効果』と『終末効果』と呼ぶが、テスト時間内の最初と最後に能率があがるように、あることのはじめと終わりには仕事がはかどる。それを逆手に取ると、例えば1時間何かやるにしても、30分が2回あるんだと思うと、はじめと終わりが1回ずつ増えるから、アセチルコリンやドーパミンを出させ、よりはかどることになる。

日常生活においていかに新しい視点を加えることが大切かというと、新たなパターンをひとつ入れるだけで、統計学的に言ってかなり認識の組み合わせ数が増えることになるからである。

『天才とはやりすぎてしまう人』

脳の神経細胞の回路の交通量の制御は、他につながっている回路の交通量を少しずつマイナスにして、つなげたい方向の交通量をプラスにするというかたち行っている。
これは実生活でも応用できる。例えばいろんな課題をたくさん抱え込みがちな人は、何かを「これはやらなくていいや」と思えたら、他の大事な部分に向けるエネルギーが増えて燃費よく好きなことがやれるようになる。

誇りを生むためには、ちょっとでも完成したものを残しておくようにすれば、自信が出てくる。