脳(なずき) ~直感の重要性~ ― 2009/07/04 20:02
◆線条体<直感=無意識:暗黙知>→淡蒼球<やる気>
淡蒼球…やる気、モチベーションを司るところ
『線条体』が活性化すると淡蒼球が活性化する。
線条体が直感を生む(10年くらい前に発見された)
線条体は大人になっても成長する。
直感力は大人になった方が鋭い。
直感(Intuition)とひらめき(Inspiration)はちがう。
直感…理由が言えない(当たっていることが多い)
ブーバ・キキ試験(尖った図形に似合う名前は? ⇒キキ)
直感は、信じてよい。
ひらめき…理由が言える(大脳皮質が司る)
1、2、4、□、16、32 この□に入る数字は? ⇒8
ひらめきは集めた資料が間違っていると、間違った結果を出す。
◆直感=繰り返しの学習
線条体の記憶方法は、『方法』の記憶(手続き記憶)と呼ばれる。
無意識かつ自動的かつ正確である。
繰り返しの訓練により身に付くもの。
※直感は、学習である(努力の賜物) ⇒暗黙知とも言える。
概念のない直感は盲目である。⇒つまり、でたらめのこと。
◆記憶力増強=興味→θ波発生
アセチルコリン=記憶を助ける物質
注意、意識的探究、興味がある時、θ(シータ)波が海馬から多く出る。
θ波が出ていれば、記憶力は衰えない。つまり、興味さえあれば、記憶、言いかえれば、脳は衰えない。「好きこそものの上手なり」
※マンネリ化は脳の敵である。
◆睡眠→θ波発生→記憶への定着
浅い眠りの時は、θ波が最も多く出ている。寝ている間に蓄えた情報を整理している。
記憶に残りやすいのは、分散学習(DL)である。一夜漬けのような集中学習(ML)では記憶に残り難い。こつこつやるのが記憶に残りやすい。理由は、間に睡眠が入るからである。
勉強の朝型と夜型とでは、記憶に残りやすい方は、夜型である。夜寝る前に勉強した方が睡眠が入るから記憶に残りやすいのである。
◆入力した情報を出力する→記憶力増強
脳は「出力」を大切にする。脳は出力ベースである(2008年2月にようやくこのことが明らかになった)
多く出力したら、記憶に定着する。本を読んだりの入力だけの勉強法では記憶に定着しないことになる。
◆作業興奮<やり始めること>→やる気
脳の気持ちになって考えることが大切である。
脳は一人ぼっちであり、暗中模索状態である。
体こそが脳の唯一の情報源である。
・体から脳へ
・見るから欲しくなる
・笑うから楽しくなる
・横になるから眠くなる
と言ったように表情や姿勢が感情を牽引するということである。
このような後付けのことを『作業興奮』という。
例えば、高い吊り橋でプロポーズした場合、恋が成就する確率が高くなる。理由は、高所ではドキドキするが、それを脳が惚れていると勘違いするからである。
『やる気』は、体で迎えにいく必要がある。
やり始めない限り、やる気はでない。
◇ちょっとメモ
「赤」色は見る人のパフォーマンスを落とす。
勉強、スポーツ、仕事でも実証されている。
人間だけでなく、鳥でも見られる。(例)キンカチョウ
HIMD Open Day 2009 セッション1
池谷 裕二氏
「脳を通じて己を磨く」より
淡蒼球…やる気、モチベーションを司るところ
『線条体』が活性化すると淡蒼球が活性化する。
線条体が直感を生む(10年くらい前に発見された)
線条体は大人になっても成長する。
直感力は大人になった方が鋭い。
直感(Intuition)とひらめき(Inspiration)はちがう。
直感…理由が言えない(当たっていることが多い)
ブーバ・キキ試験(尖った図形に似合う名前は? ⇒キキ)
直感は、信じてよい。
ひらめき…理由が言える(大脳皮質が司る)
1、2、4、□、16、32 この□に入る数字は? ⇒8
ひらめきは集めた資料が間違っていると、間違った結果を出す。
◆直感=繰り返しの学習
線条体の記憶方法は、『方法』の記憶(手続き記憶)と呼ばれる。
無意識かつ自動的かつ正確である。
繰り返しの訓練により身に付くもの。
※直感は、学習である(努力の賜物) ⇒暗黙知とも言える。
概念のない直感は盲目である。⇒つまり、でたらめのこと。
◆記憶力増強=興味→θ波発生
アセチルコリン=記憶を助ける物質
注意、意識的探究、興味がある時、θ(シータ)波が海馬から多く出る。
θ波が出ていれば、記憶力は衰えない。つまり、興味さえあれば、記憶、言いかえれば、脳は衰えない。「好きこそものの上手なり」
※マンネリ化は脳の敵である。
◆睡眠→θ波発生→記憶への定着
浅い眠りの時は、θ波が最も多く出ている。寝ている間に蓄えた情報を整理している。
記憶に残りやすいのは、分散学習(DL)である。一夜漬けのような集中学習(ML)では記憶に残り難い。こつこつやるのが記憶に残りやすい。理由は、間に睡眠が入るからである。
勉強の朝型と夜型とでは、記憶に残りやすい方は、夜型である。夜寝る前に勉強した方が睡眠が入るから記憶に残りやすいのである。
◆入力した情報を出力する→記憶力増強
脳は「出力」を大切にする。脳は出力ベースである(2008年2月にようやくこのことが明らかになった)
多く出力したら、記憶に定着する。本を読んだりの入力だけの勉強法では記憶に定着しないことになる。
◆作業興奮<やり始めること>→やる気
脳の気持ちになって考えることが大切である。
脳は一人ぼっちであり、暗中模索状態である。
体こそが脳の唯一の情報源である。
・体から脳へ
・見るから欲しくなる
・笑うから楽しくなる
・横になるから眠くなる
と言ったように表情や姿勢が感情を牽引するということである。
このような後付けのことを『作業興奮』という。
例えば、高い吊り橋でプロポーズした場合、恋が成就する確率が高くなる。理由は、高所ではドキドキするが、それを脳が惚れていると勘違いするからである。
『やる気』は、体で迎えにいく必要がある。
やり始めない限り、やる気はでない。
◇ちょっとメモ
「赤」色は見る人のパフォーマンスを落とす。
勉強、スポーツ、仕事でも実証されている。
人間だけでなく、鳥でも見られる。(例)キンカチョウ
HIMD Open Day 2009 セッション1
池谷 裕二氏
「脳を通じて己を磨く」より
人間の脳は日常生活の縮小版 ― 2008/06/21 18:39
『海馬 -脳は疲れない-』(新潮文庫:池谷裕二、糸井重里著)を読みました。 最近流行の「こうすればあなたも○○になれる」とか「△△のすすめ」とか「どうしたら☐☐なのか?」といった類のハウツー本より、ずっとどうすればより楽しく生活できるのかを示唆してくれる良本かと思います。 これを読まれたら方には、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス:池谷裕二著)もお勧めです。 『海馬』の中でなるほどと思ったところをピックアップしました。
睡眠は6時間必要。
睡眠が足りないと海馬に情報整理の仕事(レミネセンス(追憶))をさせる時間を与えない。毎日のリズムを崩すことが海馬に非常に悪影響を与えることもわかってきた。時差ボケのような状況に陥るとストレスで海馬の神経細胞が死んでしまうという実験結果もでている。レミネセンスというのは、非常に面白い現状で、例えばずっと勉強していて「わからなかったなぁ」と思っていたのに、ある時急に目からウロコが落ちるようにわかる場合がある。これがレミネセンスが作用している場合が多い。
『達成感』がA10神経という快楽に関わる神経を刺激して、ドーパミンという物質を出させ、『やる気』を維持させる。
心理学の言葉で『初頭効果』と『終末効果』と呼ぶが、テスト時間内の最初と最後に能率があがるように、あることのはじめと終わりには仕事がはかどる。それを逆手に取ると、例えば1時間何かやるにしても、30分が2回あるんだと思うと、はじめと終わりが1回ずつ増えるから、アセチルコリンやドーパミンを出させ、よりはかどることになる。
日常生活においていかに新しい視点を加えることが大切かというと、新たなパターンをひとつ入れるだけで、統計学的に言ってかなり認識の組み合わせ数が増えることになるからである。
『天才とはやりすぎてしまう人』
脳の神経細胞の回路の交通量の制御は、他につながっている回路の交通量を少しずつマイナスにして、つなげたい方向の交通量をプラスにするというかたち行っている。
これは実生活でも応用できる。例えばいろんな課題をたくさん抱え込みがちな人は、何かを「これはやらなくていいや」と思えたら、他の大事な部分に向けるエネルギーが増えて燃費よく好きなことがやれるようになる。
誇りを生むためには、ちょっとでも完成したものを残しておくようにすれば、自信が出てくる。
睡眠は6時間必要。
睡眠が足りないと海馬に情報整理の仕事(レミネセンス(追憶))をさせる時間を与えない。毎日のリズムを崩すことが海馬に非常に悪影響を与えることもわかってきた。時差ボケのような状況に陥るとストレスで海馬の神経細胞が死んでしまうという実験結果もでている。レミネセンスというのは、非常に面白い現状で、例えばずっと勉強していて「わからなかったなぁ」と思っていたのに、ある時急に目からウロコが落ちるようにわかる場合がある。これがレミネセンスが作用している場合が多い。
『達成感』がA10神経という快楽に関わる神経を刺激して、ドーパミンという物質を出させ、『やる気』を維持させる。
心理学の言葉で『初頭効果』と『終末効果』と呼ぶが、テスト時間内の最初と最後に能率があがるように、あることのはじめと終わりには仕事がはかどる。それを逆手に取ると、例えば1時間何かやるにしても、30分が2回あるんだと思うと、はじめと終わりが1回ずつ増えるから、アセチルコリンやドーパミンを出させ、よりはかどることになる。
日常生活においていかに新しい視点を加えることが大切かというと、新たなパターンをひとつ入れるだけで、統計学的に言ってかなり認識の組み合わせ数が増えることになるからである。
『天才とはやりすぎてしまう人』
脳の神経細胞の回路の交通量の制御は、他につながっている回路の交通量を少しずつマイナスにして、つなげたい方向の交通量をプラスにするというかたち行っている。
これは実生活でも応用できる。例えばいろんな課題をたくさん抱え込みがちな人は、何かを「これはやらなくていいや」と思えたら、他の大事な部分に向けるエネルギーが増えて燃費よく好きなことがやれるようになる。
誇りを生むためには、ちょっとでも完成したものを残しておくようにすれば、自信が出てくる。
人間の脳ってすごい ― 2008/05/17 12:36
人間の脳の中で記憶を司るところを『海馬(かいば)』といいます。
脳の神経細胞(1千億個くらい)は、1秒に1個くらいというものすごい勢いで減っていっていますが、その中で唯一神経細胞が増える場所でもあります。海馬の神経細胞の数は、1千万個くらいです。
つまり、脳は「入れ替えをしない構造」を作りますが、海馬は入れ替わるのです。 海馬は記憶を作るだけのところ、つまり、「記憶の製造工場」であって、保存するところではないので入れ替わった方がいいのだということが言えます。海馬は記憶に留めるかどうかを判断するところです。
海馬が発達すれば、たくさんの情報を同時に残そうとします。刺激の多い環境の人は海馬が大きくなるという実験結果があります。
海馬は隣にある、感情を司る扁桃体(へんとうたい)というものと密接に連絡を取っています。扁桃体を活性化すると海馬も活性化します。つまり、好きなものは憶えやすいといったことになるのです。扁桃体を活性化するためには、感情を豊かにすることが重要です。
何を記憶するかの基準は、海馬が扁桃体の感情を参照しながら情報を取捨選択していくのではないかと言われています。
海馬が破壊されると、すごいストレスがかかるそうです。逆に海馬が発達してくるとストレスはなくなります。海馬は新しいことを処理する能力に長けていると言えます。むしろ新しい環境とはストレスではないといえますね。
ところで、脳の神経回路は一度形成したら元には戻らない性質をもっていいます。これを脳の『可塑性(かそせい)』―粘土のようにぐにゃっと形が変形したら、もう元には戻らない性質のもの―といいます。これが記憶の仕方の特色です。
記憶には、2つのタイプがあります。
『ものを憶えるWHATの暗記メモリー(意味記憶)』
⇒単なる記憶
『ものの方法を憶えるHOWの経験メモリー(方法記憶)』
⇒自転車の乗り方や難問を解決する筋道など自分で試してみなければわからないものごとの記憶
この中で重要なのが後者の経験メモリーです。俗に言う、「頭のいい人」っていうのは、この経験メモリーの豊富な人のことをいうのではないでしょうか?
実は、「やる気」を生み出すところが脳の中にあります。
『側坐核(そくざかく)』というものがそれです。りんごの種のような小さい脳部位です。この神経細胞が活動すればやる気がでるのです。
では、やる気を出させるためにはどうすればいいのでしょうか?
「やる気がない場合でもやりはじめるしかない」というのが回答です。
え?っと思われるかもしれませんが、側坐核は、なかなか活動しない神経細胞です。ある程度の刺激が来たときだけ活動するといった少々厄介なやつです。一度始めると、やっているうちに側坐核が興奮してきて、集中力が高まり気分が乗ってくるといったことになります。
この現象は、クレペリンという心理学者が発見して『作業興奮』と呼ばれています。
ここでちょっと、ミクロな視点で、神経伝達物質という視点で見てみましょう。
側坐核は海馬と前頭葉(ぜんとうよう)に信号を送り、「アセチルコリン」という神経伝達物質を放出しています。実はこの物質がやる気を起こす原因だったのです。
このアセチルコリンの働きを抑えてしまうものが身の回りにあります。
一番顕著なのが、「風邪薬」、「鼻炎薬」、「下痢止め薬」などです。
風邪をひいたときに風邪薬を飲むと眠くなりますよね。これは、アセチルコリンの働きが抑えられてしまっているからなのです。だから、今日は受験とかいった勝負の日には、風邪をひいているからといって、風邪薬は禁物です。
今は、アセチルコリンの働きを抑える成分の入っていない風邪薬もあるそうです。その抑える成分で有名なのが、「ジフェンヒドラミンン」や「スポコラミン」です。 風邪薬を飲むときには箱の裏の成分をチェックしてみましょう。
脳の神経細胞(1千億個くらい)は、1秒に1個くらいというものすごい勢いで減っていっていますが、その中で唯一神経細胞が増える場所でもあります。海馬の神経細胞の数は、1千万個くらいです。
つまり、脳は「入れ替えをしない構造」を作りますが、海馬は入れ替わるのです。 海馬は記憶を作るだけのところ、つまり、「記憶の製造工場」であって、保存するところではないので入れ替わった方がいいのだということが言えます。海馬は記憶に留めるかどうかを判断するところです。
海馬が発達すれば、たくさんの情報を同時に残そうとします。刺激の多い環境の人は海馬が大きくなるという実験結果があります。
海馬は隣にある、感情を司る扁桃体(へんとうたい)というものと密接に連絡を取っています。扁桃体を活性化すると海馬も活性化します。つまり、好きなものは憶えやすいといったことになるのです。扁桃体を活性化するためには、感情を豊かにすることが重要です。
何を記憶するかの基準は、海馬が扁桃体の感情を参照しながら情報を取捨選択していくのではないかと言われています。
海馬が破壊されると、すごいストレスがかかるそうです。逆に海馬が発達してくるとストレスはなくなります。海馬は新しいことを処理する能力に長けていると言えます。むしろ新しい環境とはストレスではないといえますね。
ところで、脳の神経回路は一度形成したら元には戻らない性質をもっていいます。これを脳の『可塑性(かそせい)』―粘土のようにぐにゃっと形が変形したら、もう元には戻らない性質のもの―といいます。これが記憶の仕方の特色です。
記憶には、2つのタイプがあります。
『ものを憶えるWHATの暗記メモリー(意味記憶)』
⇒単なる記憶
『ものの方法を憶えるHOWの経験メモリー(方法記憶)』
⇒自転車の乗り方や難問を解決する筋道など自分で試してみなければわからないものごとの記憶
この中で重要なのが後者の経験メモリーです。俗に言う、「頭のいい人」っていうのは、この経験メモリーの豊富な人のことをいうのではないでしょうか?
実は、「やる気」を生み出すところが脳の中にあります。
『側坐核(そくざかく)』というものがそれです。りんごの種のような小さい脳部位です。この神経細胞が活動すればやる気がでるのです。
では、やる気を出させるためにはどうすればいいのでしょうか?
「やる気がない場合でもやりはじめるしかない」というのが回答です。
え?っと思われるかもしれませんが、側坐核は、なかなか活動しない神経細胞です。ある程度の刺激が来たときだけ活動するといった少々厄介なやつです。一度始めると、やっているうちに側坐核が興奮してきて、集中力が高まり気分が乗ってくるといったことになります。
この現象は、クレペリンという心理学者が発見して『作業興奮』と呼ばれています。
ここでちょっと、ミクロな視点で、神経伝達物質という視点で見てみましょう。
側坐核は海馬と前頭葉(ぜんとうよう)に信号を送り、「アセチルコリン」という神経伝達物質を放出しています。実はこの物質がやる気を起こす原因だったのです。
このアセチルコリンの働きを抑えてしまうものが身の回りにあります。
一番顕著なのが、「風邪薬」、「鼻炎薬」、「下痢止め薬」などです。
風邪をひいたときに風邪薬を飲むと眠くなりますよね。これは、アセチルコリンの働きが抑えられてしまっているからなのです。だから、今日は受験とかいった勝負の日には、風邪をひいているからといって、風邪薬は禁物です。
今は、アセチルコリンの働きを抑える成分の入っていない風邪薬もあるそうです。その抑える成分で有名なのが、「ジフェンヒドラミンン」や「スポコラミン」です。 風邪薬を飲むときには箱の裏の成分をチェックしてみましょう。
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